体育学部 スポーツ医科学科
「Load and Go」命を救う人になるために。救急救命士の学び。【救急処置実習D(事例研究)】
【救急処置実習D(事例研究)】は4年次の授業です。3年次までに修得した救急救命処置を、実際の現場を想定した実習で頭と体の両方に定着させます。指導にあたるのは、東京消防庁の隊長経験者や医師をはじめとする救命のプロフェッショナル。現場に則した観察・判断・処置・接遇・情報伝達を円滑に行えることが目標です。
※2016年6月撮影
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先生からの
「この授業の紹介」体育学部 スポーツ医科学科
髙橋宏幸 講師TAKAHASHI Hiroyuki
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学生からの
「この授業の見どころ」体育学部 スポーツ医科学科
松本孝平MATSUMOTO Kohei
神奈川県立藤沢清流高等学校出身
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Point.1現場経験豊かな
救命のプロが指導。先生は東京消防庁の救急隊長経験者や現役の医師。
「Load and Go」(ロードアンドゴー)は救急用語のひとつで、重症の外傷を負っている傷病者に対しては最小限の観察・処置のみを行い、5分以内に救急車に収容し、速やかに医療機関へ搬送することを意味します。そんな緊迫した現場を何度も経験してきた救命のプロが指導するのがこの授業です。中心となるのは東京消防庁の救急隊長を務めた先生たち。ひと班約12~20名の学生に対して先生が1名ついて、膝を突き合せながらきめ細かなアドバイスを行います。さらに現役の医師も加わって医学的立場から指導を行うほか、ティーチングアシスタントとして大学院生も参加。いろいろな立場・分野の人の経験や実績を集結し、実際の救急現場に近い環境で学びます。
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Point.2現場を想定して動く
密度の濃い実習。想定付与→デモ→フィードバックの確かな3STEP。
実習は班をさらに少人数に編成し、10人以下のグループ単位で実施。①想定付与→②デモンストレーション→③フィードバックというステップをしっかり踏みます。まずは学生たちが「傷病者」「関係者(傷病者の家族や119番通報者)」「救急隊」の役に分かれ、傷病者役の学生に先生がシナリオを伝達。「35歳男性、歩行中に車にはねられる。右腕に出血、胸に打撲の跡あり」といった観察の状態を呼吸数・脈拍・血圧などのデータとともに伝え、さらに疾患名やその観察・処置のポイントまで話します。これが想定付与で、傷病者役の学生にだけ先に詳細を教えて、それに沿った演技をしてもらうのです。その後、実際の病院前医療を想定したデモがスタートします。
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Point.3「なぜ?」を繰り返して質を高める。
教科書だけでは育たない「実践力」を養うために。
先ほどの想定付与の疾患は「血気胸」という胸部の外傷で、胸腔内にたまっている血液・空気を抜く処置ができる病院に速やかに搬送する必要があります。1分1秒の遅れが命を左右する戦いに学生たちは真剣そのもの。デモ後のフィードバックでも、なぜ血気胸と判断したのか、なぜあの処置を行ったのか、本当に必要な処置だったかなど、活動をふり返りながら先生を交えて議論が続けられます。救急救命士の国家試験合格をゴールと考えるなら、教科書や過去の問題集で対策を行えばいい。しかし私たちが育てるのは「実践力のある救急救命士」で、それは教科書の中だけではできません。命を救う人を目指すなら、ぜひこのスポーツ医科学科で学んでください。