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授業ルポ

「距離とは何か」というテーマから始まり、コーシー列、完備距離空間、不動点定理など学習の学習を通じて位相空間についての理解を深めていく。講義は、毎回例題が出され、それを教授と一緒に解いていくというスタイルで行われる。

鈴木教授は、距離の公理について解説を行ったのち、完備距離空間やコーシー列といった数学用語について話し始めた。「完備であるとは、コーシー列が全て収束列であることを言います。詳しくは今日と来週の2回に分けて講義しますが、非常に難しいので、今日の授業だけで理解しようと思わないでください」と鈴木教授。ちなみにコーシー列とは、どこかに収束しているように見えるが、その行き先があるかどうか分からないような点列を指す。
コーシー列を数学的に表現する場合には、イプシロン・デルタ論法を用いる場合がある。内容を言葉にすると、下記のような形だ。
「ε>0 をどんなに小さくとっても、m,n を十分大きくとれば、d(xm,xn) は0のε-近傍にはいる」
鈴木教授は、最初にイメージを黒板に書き、この論法について日本語で細かく板書を始めた。
鈴木教授は、イプシロン・デルタ論法について日本語で書き終えると、今度は英語で、次いで英語をベースにした記号で表記する場合について板書を行った。実際に使用する場合は、日本語ですべて書くと時間がかかって大変なため、数学者の間では、記号を利用した表記をするのが常識となっている。アルファベットのAを上下反転したような「∀」や、同じくEを左右反転した「∃」のような記号が並んだ下記のような形になる。
∀ε>0, ∃n0≧1 d(xm,xn)<ε(m,n≧n0)
ちなみにそれぞれ、「∀」はAny(任意の)、「∃」はExist(存在する)を意味するのだとか。鈴木教授は、数式を書き終えると、内容についての細かい説明を加え、講義終了となった。

「この分野を学ぶには、関数を点で考えるという発想の転換がポイントになります。点だと思って考えることで、不動点定理や微分方程式の解の存在を証明することができます。こういう発想の転換や論理的な考え方というものは、数学のほかの分野でも活かすことができると思いますよ」と鈴木教授。一見、難解に見える数字の世界も、やわらか頭にして見つめてみると将来に役立つ何かが見つかるかもしれない。