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授業ルポ

公共事業の大きな目的の一つは、人々が困っていることを解決することである。本演習では、具体的な場所を対象として、その地域で困っていることを探し、それらを解決する計画設計案を作成することを目的としている。
東急世田谷線の「宮の坂駅」を対象地として、「子どもから高齢者までが共存できる宮の坂の公共広場」という課題のテーマが与えられ、1/250のスケールの設計模型を作るというのが本演習の趣旨である。

これまでの公共事業は「便利」や「安全」という人々が求める問題に対して、道のないところに道を作り、川を渡るための橋を掛け、洪水の氾濫を防ぐために堤防を作ってきた。しかしそのことによって、新たに困ったことが起きている。地域の自然や歴史環境が壊されたり、高齢者の住みやすい地域ではなくなったり、子供の遊び場が少ないなど、さまざまな問題が起きている。この演習では、その地域で具体的に困っていることを解決する計画設計案を作成するのが目的である。
「大学の近くの公共用地になっているところを設計対象にしています。今回は東急世田谷線の宮の坂駅です。もともとここには烏山川が流れていて、今は暗渠(あんきょ)に蓋がされている状態。できれば烏山川も地上に戻す計画案を作成してほしいです」と、二井先生から指示が出される。
東急世田谷線の駅の多くは改札のない駅。色々なところから自由に出入りできるという利点を活かし、さらに駅前に緑がある魅力的な場所にすることも課題のテーマに置いているという。

実際の都市計画の現場では、発注者とのコミュニケーションが重要となってくる。住民が休める憩いの場所や、広場を設けるなど、言葉だけで説明をしても具体的なイメージを見せる必要がある。それには今回のような模型の作成が非常に有効で重要なのだ。
今回の授業では、学生が制作した計画設計案に基づく模型に対し、二井先生が質問をしていく。
「この橋は、なぜここに架けたの?」「この建物は、ここに必要かな?」二井先生の質問に、回答していく学生たち。プロの目から見た厳しいコメントが続く。
「実際に形にするだけではなく、なぜ魅力的で、なぜこの場所に必要なのかというプレゼンテーションも重要」と、二井先生から学生に告げられた。

二井先生に今回の授業の目的について尋ねた。「学生には高いレベルを求めてほしいです。また、公共空間はどうあるべきかというのを、演習を通して問題意識を持ってもらいたい。講義を聞くだけでは実感が湧かないようなことも、自らの手を動かすことでどれだけ難しいことなのかを知り学んでほしいです」。
(写真:学生が今回の課題で制作した模型)