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授業ルポ

経済学科

産業技術論-vol.2-

民間企業における新技術の開発やその流れを学ぶ授業。自動車、ケミカルといった産業ごとの違いや、政府や大学が行う技術開発との比較などを通して、具体的にどんなことが行われているのかを探る。

Scientist(科学者)の登場

大学で、科学研究が行われるようになると、それを職業とする人も出てきた。いわゆるScientist(科学者)の登場である。ちなみに、この言葉は1840年頃に英語の辞書に現れてきた新語である。それまでは、そんな職業の人はいなかったので、言葉自体も存在しなかったのだ。
「どんな職業にも職業規範というものがあります。医者は患者の秘密を守らなければならない、営業マンは顧客の情報を流してはいけない、などです。では、科学者の職業規範とはどんなものなのだろうか。それは、他の職業の倫理観と似ているのか、それともまったく違うのか。そんな研究した人がいます。アメリカの社会学者R・K・マートンです」

普遍主義

マートンは、大学の先生たちの仕事を観察した。その結果、他の職業とは違う、科学者ならではの規範が4つ見つかったのだと木原教授は話す。
「まずもっとも大事なのが普遍主義。一般的に仕事には評価の物差しがあります。販売員なら売上高やリピート率、顧客からの信用などですね。では、大学の世界ではどういう物差しではかろうとしているか。大学では、有名かどうかや、年齢、国籍、人種、性別などにとらわれず、科学の進歩への貢献を仕事評価の物差しとすべきとしています。ただ、 “すべき”ではあるものの、必ずしもそうなっていない現実もあります」
木原教授は、アインシュタインを例にその現実を話した。
「彼は1916年に相対性理論を発表しましたが、発表当時はインチキだ、ほら話だとさんざん批判されました。今でこそ誰もが宇宙の根本的原理として受け入れているわけですが、当時は、十分な証拠がなかったこともあり、『これは科学ではない、ユダヤ人だから大ボラがふけるんだ』など酷い叩かれようでした。結局、彼はドイツを離れてアメリカに行くわけですが、アインシュタインも、当初は人種という物差しが入って正当に評価されなかったわけです」

他にもある大学の科学者が持つべき職業道徳

そのほかに、大学の科学者が持つべき職業道徳には、公有主義、利害超越性、懐疑主義などがある。公有主義とは、研究の成果は人類共有の財産であるとするものであり、利害超越性とは、個人の利害を動機にして仕事をすべきではないということ。また、懐疑主義とは、多くの人がある主張を信じても、証拠がない限りは同調すべきではないという姿勢だ。
なぜ、こうした職業倫理がもとめられるかについて、木原教授は、「大学は研究すること、新しい知識を生み出すことが社会的使命です。人種や性別という物差しで物事を見たり、みんなの意見にただ同調するだけだったら、けっして新しい知識は生まれません」と説明する。
そして、そんな大学で学ぶ学生には、こんなアドバイスを送ってくれた。
「学生の皆さんは、科学技術のいろんな影響を受ける立場にある。科学技術の研究が、どういうところで、どんな目的で行われているのかをよく知っておくと、これからの時代を生きていく上で大きな力になるはずですよ」

講義情報

この講義の担当は…
木原 英逸
この講義の関連情報
シラバス「産業技術論(基礎)」(対象:経済学科3・4年 通年)

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