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授業ルポ

地方自治に関する基礎的な概念や知識を整理し、地方自治の歴史や行政の仕組みを検討・評価する授業。現在、実際に行われている政策なども随時取り上げる。前期のみ開講の「地方自治入門」とあわせて受講するとより理解が深まる。

約2分間の休憩が終わり、授業の話題は、予想される今後の展開へと進んでいく。
地方分権の今後は、民主党政権がどのような政策を行うのか、そしていつ頃まで続くのかにかかっている。11月に行われ、世間の注目を集めた「事業仕分け」で、約1兆8000億円の無駄が洗い出されたことが記憶に新しいが、こうした取り組みを通じて、公共事業の見直しや行政の無駄の削減、地方交付税の増額などが実現できるかどうかが、地方分権を進めるカギになるのだ。
「いろいろ課題はありますが、政治主導で官僚勢力が低下しているいまがチャンスです。いずれにせよ、国ではなく市町村が行うことで何がどれだけ便利に、効率的になるのか、市民に分権のメリットを示すことが大切です」

一方で、地方分権の難しさもある。八ツ場(やんば)ダム建設の継続を求める署名は、すでに住民の数を越えている。しかし、民主党は八ツ場ダム建設中止をマニフェストに記載して選挙で勝利した。「どちらが民意か」は難しい問題だ。
また、無駄な空港のひとつとして批判されている静岡空港も同様で、県議会、県知事ともに空港建設に大賛成だった。産業が少なく、公共事業頼みの地域もあるという現実を考えれば、その決定にも一理ある。しかし、地方分権を進めて権限を県や市町村に移譲していくと、利益誘導型の政治腐敗が起きる可能性も否定できない。地方分権は諸刃の刃でもあるのだ。

石見准教授は言う。
「国税から地方税への税源移譲は、現在の政府の台所事情を考えると大変難しい。ならば、縛りの多い補助金を、自由度の高い地方交付税に変更することだけでも始められないか。イギリスの地域政府や自治体では自主財源は少ないが、交付税で運営しています」
ほかにも、民主党は道州制の導入に慎重であるが、イギリスでは、地域開発公社が地域経済の活性化に一役買っていること、民主党が主張する高速道路無料化に合わせた道路沿いの開発なども考慮すべきであるということなど、日本の地方分権の課題と克服案などについて話が行われ、この日の講義は終了した。
まさに現在進行形の日本の「地方分権」。この日の授業を通じて、学生たちは政権交代がなされたばかりの日本が抱える問題点を、リアルに実感できたことだろう。