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授業ルポ

日本で行われている農業を中心に、農村社会が持つ経済的、社会的特徴について学ぶ選択科目。ビデオ、DVDなどの視聴覚教材や講師が入手した資料などを使用しながら、ふだん農業に触れることが少ない学生でも農村を身近に感じられるような講義を展開している。

ではなぜ、日本の水稲作農家に兼業農家が多いのか。その理由を宮地講師はこう説明する。
「水稲作は日本の農業の中で最も機械化が進んでいます。田植え機、コンバイン、防除機、バインダーも、水稲作に使うために開発されたもの。一方で野菜の収穫、例えばキャベツの収穫は、大学生のアルバイトが行っていたりしますが、水稲作はほとんど機械で作業できます。つまり、作業が省力化されたぶん就業場所が近くにあれば兼業しやすいんですね。もうひとつは価格の問題。米60キロの米価が1万2,000円ぐらいですから、10アールの田んぼで600kg収穫できたとしても12万円。経費9万円(この額は、宮地講師のゼミで今年行った福島での農業実習での経費だそうだ)を差し引くと、半年間かけて3万円しか手元に残らない計算になります」
海外から輸入されるミニマムアセス米、米の売買が大幅に自由化された新食糧法(以前の食糧法は廃止)などの影響により米価格は安くなり、昔は手厚く保護されていた水稲作農家の営農環境が非常に厳しくなってきているという。

講義の中で実例として紹介されたのは、新潟県頸城(くびき)村(現:上越市頸城区)の状況。頸城村では、5ヘクタール以上の農地を持つ農家が増え、それより狭い農家は減少傾向にあるという。日本の農家の平均耕地面積は約1.5ヘクタールだから、5ヘクタールというのは相当な広さ。こうした大規模農家の多くは、ほかの農家から田を借りて生産しているのだという。小作料は低下傾向にあるため、規模を拡大したい農家は、大規模に圃場(ほじょう)整備された農地で大型農業機械も使いやすくなったことから、大規模農業にシフト。一方、兼業を続ける農家は、小規模な田を維持しながら自宅から車で通勤できる工場などで働くという、大規模農家と小規模農家の二極化が進んでいるのだという。実際、頸城村や隣接市町村には、こうした兼業農家が働く工場がたくさんあるのだそうだ。

こうした状況の中、2004年以降は米政策の改革もさらに進んでいる。
「全国一律となっていた減反を販売実績に応じた政策に変えました。新潟県の魚沼など、高く売れるブランド米は生産を推奨し、そうでないエリアでは減反するという政策です」
ほかにも麦や大豆などへの転作、餅、せんべい、酒、米粉パンなどの米加工品の推奨、有機農薬米にすることでの差別化などで、生産量を調整し、米価の下落を止めようとしている。講義の最後に、宮地講師は実際にこれらの加工品や、ゼミの学生と手植え・手刈りで生産した有機米などを学生たちに披露した。その小さな一粒に秘められた農業の現実は、学生たちの心にどのように響いただろうか。