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授業ルポ

論理学的な確率、パラドックスや倫理学的な価値判断に関わるテーマについて、ディスカッションを行う。学問的知識とともに、自分の考えを人前で発表するスキルを身につけることを目標としており、授業では、間違っても、分からなくても積極的に発言することを重視している。

授業は、vol.1で紹介したエレベーターの法則に関する宿題の答え合わせへと移る。
「答えが分かった人は手を挙げて」という齋藤講師の言葉に、何人かの手が挙がった。
「同じ昇降路の中にかごを2つ設置するエレベーターを考えました」という学生のほか、エレベーターを2機使って偶数階専用と奇数階専用に分けたエレベーターや、複数個のかごを使い山手線のようにぐるぐる回るエレベーターなどの案が出された。
次にこれらのエレベーターの問題に対して問題点はないかが話し合われた。かごが2つあるエレベーターでは、上部のかごに乗ったら1階では降りられず、下部のかごに乗ったら最上階で降りられない、偶数奇数エレベーターでは2階から5階などに行く場合が不便、山手線方式は技術的に難しそうであり、誰も利用者がいない階に停まるケースも想定されるため、エネルギー効率が悪そう、といった意見が出された。ちなみにあるメーカーが最近開発したエレベーターは山手線方式に近い形のもので、将来的に実用化の可能性もあるそうだ。

次に車線の法則「二車線の道路を走っていると、たいてい隣の車線のほうが速い」についての講義になった。「隣」という言葉自体が相対的な概念(隣からみれば、こちらが隣になるため)であるため、法則自体が正しいとは言い難い。しかし、それでもこの法則があながち間違いではないように思えるのはなぜか。学生からは、「自分の車線が流れているときは、隣車線を気にしないからではないか」「車線変更をすると自分の車が走っていたスペースがあいて、すいたように見えるのではないか」といった意見が出された。
そこで、齋藤講師は「今までは心理的な意見が多かったですが、本当に隣が速いということが言えるのです。その理由を考えてみてください」とさらなる課題を学生に投げかける。学生からはさまざまな意見が出たものの、ついに正答は生まれなかった。ちなみに答えは「速い車線は車の数が少なく、遅い車線は車の数が多い。自分がどちらの車線を走っているかを考えると、確率論的には車が多いほうにいる可能性が高いので、法則は正しい」ということになるのだそうだ。

このあと、スーパーのレジや電車の切符売り場などで「自分が並んでいる列は遅いような気がする」という法則についてもディスカッションが行われ、この日の講義は終了。頭の体操のような、推理ゲームのような課題にあれこれ考えを巡らせていると、授業の90分間はあっという間に過ぎていった。
論理学は堅苦しい学問どころか、とても“やわらかアタマ”な学問なのだった。