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授業ルポ

倫理学専攻

ギリシャ哲学演習

ギリシャ哲学演習

プラトン著『ソクラテスの弁明』をテキストとし、担当学生の発表と学生たち相互の討論を中心に、研究を進めていく。テキストを読む上で学生たちが抱く問題意識をはっきりさせ、問題点・疑問点についての学生相互の討論を通じて、試行錯誤しながら、テキストに込められた思想に対する理解を深めていくことを目的とする。

思想書を読み解くということ

ギリシャ哲学演習という授業は、『ソクラテスの弁明』の日本語訳を教材にして、思想書の読解に必要なテキストの分析方法、討論における議論の作法を学びながら、テキストを読み解いていくというもの。

この授業においては、プラトン著『ソクラテスの弁明』のテキストを徹底的に読みこむことから始まる。参加学生全員がテキストに込められた著者の主張についての自分なりの理解をまとめた上で授業に臨むことが求められる。授業ではテキストを朗読し、問題個所について、意見を交わしながらテキストを読み進めていく。
一番大事なことは著者の主張の核心を取り出す時の論証過程だ。教科書的な解説とは異なる理解の仕方であっても、一定の論拠に基づく理解である以上は尊重しなければならない。

議論をする意味

授業が始まると、野津先生から「この授業は講義ではありません。皆さんの議論が中心となって進んでいきます」と授業の進め方が改めて伝えられた。先生は学生たちの議論の司会進行役を心がけているようだ。学生相互の議論を整理したり、学生たちの発言にコメントを加えることはあっても、解説は行わない。

今回は『ソクラテスの弁明』第4節を読み進めていく。発表者となる学生はレジュメをまとめてきている。発表者は他の学生からの質問に対しては必ず何か答えなければならない。
「発表者が沈黙してしまうと討論が成り立ちません。『わかりません』は禁句です」と先生は言う。

また、質問する側の学生は、自分の発言が、純粋な「質問」なのか、曖昧な点の「確認」なのか、自分自身の「意見」なのか、を明確にしなければならない。どれも討論の円滑な進行のためである。
学生たちの議論は「指示語の対象」の確認に始まり、その後「語句の意味」、「文章の意味」、「文と文の論理的関係」等の確認へと向かう。テキスト中の抽象的な表現については「具体例」が求められる場合もある。
議論が出尽くした後は、発表者が用意したレジュメの内容を確認する。そこでまた新たに議論すべきことがでてくれば、さらに意見を詰めていく。

野津先生は学生たちに「自分の力でテキストを読んで結論を導き出せる力を身につけてほしいです」と言う。思想書を読み解く訓練を経て身につけた「読む力」は卒業後も様々な場面で役に立つということだ。

論理的思考

ギリシャ哲学演習の授業に求められることは、論理的な思考だろう。
野津先生はテキストを読み解くためのヒントとして、「読み解くということ」には「文章そのものを読み解くこと」と「行間に含まれる意味合いを読み解くこと」とがあると言う。著者が直接書いていなくても、「書かれている内容」を前提として読み解いていくと「言っているはずの内容」がある。それを導き出すのが論理の力なのだ。

講義情報

この講義の担当は…
野津 悌
この講義の関連情報
シラバス「ギリシャ哲学演習」(対象:倫理学専攻 3・4年 通年