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社会科学系学部生のこうした結果について、私は次のように考えます。
一般に彼らの多くは、民間企業への就職を希望しております。その業種、規模は多岐にわたり、公務員や教員志望の学生も一定数おります。社会科学系学部で学べば、就職に関して広範囲の選択肢が用意されていることは確かであり、在学中に十分に時間をかけて自分の進むべき道を定めることが許されていると言えます。しかし、選択肢が数多くあり過ぎてしまい、結局彼らは自分がやりたい仕事、自分に合う仕事を明確に絞り込めないまま、大学生活の後半を迎えてしまっていると言えます。これは、社会科学系学部で学ぶ学生のほぼ共通した特徴であり、とりわけ首都圏を中心とする都市部の私立大学で多く見られる傾向であると言われております。
こうした学生は、心理学的にはキャリア・アンカー(career anchor)が未成熟な状態にあると説明できます。アンカーとは船の錨(いかり)を意味し、これが定まらなければ船は漂流してしまいます。したがって、キャリア・アンカーが未成熟な状態とは、自分の能力、価値観、興味、関心に基づく自分にふさわしいと実感できる職業上の自己イメージが十分に形成されていないことを意味します。こうした学生に対するキャリア教育が、現在求められているわけです。
これに対して、自然系や人文系の学生は、社会科学系の学生に比べてキャリア・アンカーがある程度確立していると言えます。自然系の場合には、在学時の専攻分野によって卒業後の仕事内容が異なる(例えば、機械工学、電子工学、建築工学とでは就職先が異なる場合が多い)ため、入学時点で自分のやりたいことを明確にしなければなりません。それが専門性の所以でもあります。人文系学生についても同様です。人文系出身者の就職先の幅は狭いとよく言われますが、逆に言えば、それだけ問題意識が絞り込まれているとも言えます。彼らは入学時にキャリア・アンカーが定まっているため、目標を設定して勉学に励み、そして、それが将来の自分へ繋がっているとの確信を持つことができるのです。
学生生活においても、社会人として仕事をしていく上でも、北極星のように常に一定の場所を占めて、われわれに一定の位置や方角を示してくれるものが必要です。足もとの大地をしっかり踏みしめて歩くためには、遠くの星を見つめながら歩く必要があります。自分はこんな風にこれからの人生を生きたいといった「夢」がなければ現実の荒波に振り回されてしまい、とんでもないところへ流されてしまいかねません。すなわち、「夢」とは心の羅針盤のようなものなのです。
就活を始める前に、こうした心の羅針盤を定めてほしいものです。社会科学系学部で学ぶ学生諸君には、それが特に必要なように思います。闇雲に企業訪問を繰り返しても良い結果は生まれません。仕事を通して自分が実現したいことは何なのか、社会に対してどのような貢献をしていきたいのか、是非とも考えてほしいものです。単に会社の歯車になるだけの存在だとしたら何と哀しいことでしょう。まずは、心の羅針盤を定めることから始めて下さい。
「キャリアデザイン vol.1
~社会科学系学部で学ぶ学生諸君は、まずは「心の羅針盤」を定めよ~」はこちら
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