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文学部 学びのコラム

「国際サンゴ礁年」って知っていますか?

2008年04月16日

2008年は、国際サンゴ礁年です!

と、いわれても、たぶん知らないですよね? ダイビングが趣味だというタレントが、サンゴ礁年に関連したイベントの司会に引っぱり出されたり、水族館の大水槽でパフォーマンスを演じている様子が時々マスコミに紹介されたりしています。また、国際サンゴ礁年に関連したイベントが、昨年の暮れあたりからたくさん行われています。

パフォーマンス?

例えばある新聞のWebサイトでは、某プロレスラー氏が「元気ですかー!元気があれば、サンゴも植えられる!」と叫び、水槽の底にサンゴを植え付けるデモンストレーションを披露。最後は「1、2、サン、ゴ!」と雄たけびをあげて締めくくった。」と、赤いウェットスーツ姿の雄姿をカラー写真で紹介しています。
(参考サイト:asahi.com http://www.asahi.com/komimi/TKY200711290240.html)。
国会議員の経験もあるこの方が「ライフワークとして環境問題に取り組んでいる」と語ってもいるそうです。そこまで言わせるかと、ここでも少し笑ってしまいました。
国際サンゴ礁年といわれても、多くの人たちはあまり関心も無いでしょう。サンゴやサンゴ礁は、地球温暖化が進行した際に悪影響が現れる例として、また、海域の環境悪化が進行したときにもっとも影響を受けるものの一つとして、象徴的に扱われることが多いように思います。誰が見ても「きれいだ」とか「神秘的」に映るものが、死に絶え壊されてゆくのは同情もかうでしょうし人の心に訴えるものも大きいと思われているのかもしれません。

国際サンゴ礁年と保全運動

ところで、国際サンゴ礁年とは何でしょう?日ごろサンゴ礁をウロウロしている私も、私の周りの研究者も「よくわかりません」というのが本音じゃないかと思います。いろいろなところで、環境省はパンフを配っていますし私などが役員をやっている学会もこの催し物に協賛しているのですが、どうせお役所がコンサルタントや外郭団体を使ってやっているイベントだろう? というのがおおかたのさめた見方なのかもしれません。「国際サンゴ礁年」でWebを検索すれば「サンゴ礁保全を目的とした国際的な協力の枠組である「国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)」は、2008年(平成20年)を「国際サンゴ礁年」とすることを決定しました。「国際サンゴ礁年」には、世界各国において、大勢の人にサンゴ礁についての理解を深めてもらうための普及啓発活動や、多様な主体(企業、NGO、行政、研究者、市民等)が連携したサンゴ礁保全活動が展開されることになっています。」という答えがすぐさま返ってきます(一部を省略して引用:(http://www.iyor.jp/2008/index.html))。

趣旨はとてもすばらしい。一生懸命活動している人たちのじゃまをするつもりはもちろん無い。できれば協力も惜しまない。でも、ふるくからサンゴ礁で保全活動をしてきた人たちにとっては、「なんだかチカラが入らないよね」というのも本音なのです。それは、日本では「サンゴ礁保全活動が展開されている」はずの現在も、自治体などが主導するサンゴ礁の破壊が、着々としかも大規模に進行しているし、サンゴやサンゴ礁をイメージアップに利用する企業に、良いように使われているという思いがあるせいかもしれません。それを逆手にとって、企業から研究費をいただくという凄腕の研究者を、羨望の眼差しで見ることもあるのですけれど。
あまり話しを拡げないうちに、日本のサンゴ礁に限定して、次回からサンゴとサンゴ礁の話を進めてみたいと思いますが、最後に写真を二枚だけ見ていただきましょう。

写真1 沖縄本島南部、太平洋側にある知念半島のサンゴ礁。
干潮時に潮の引いたサンゴ礁は、女性や子供達でも簡単にアプローチできる「陸地」にかわります。 2005年11月 長谷川撮影


写真1は、日本でみられる典型的なサンゴ礁のタイプです。このタイプのサンゴ礁を裾礁(きょしょう)といいます。大部分の日本のサンゴ礁はこのタイプです。写真からわかると思いますが、浜辺から歩いてジャブジャブと浅瀬のサンゴ礁へ入って行けます。沖縄では、昔から人びとの生活の中にサンゴ礁が組み込まれていました。神様のいらっしゃる場所は、サンゴ礁の向こう側に見える海。オバアたちは、何かにつけて海に向かって手を合わせます。晩飯のおかずは、畑仕事の合間にサンゴの海へ取りに行くというのが普段の暮らしでした。海の中の穴や大きな岩にまで地名があるのです。一方、グレートバリアリーフのような大陸棚の縁にあるサンゴ礁では、サンゴを見に行くだけでも片道100kmほど、船に揺られて一日がかりです。
日本のサンゴ礁のように、浜から近いというのは開発する側にとっては好都合でした。建設用の重機を簡単に海に入れ、陸から土砂を運び込んであっという間に埋め立てが完了するからです。このようにして沖縄本島南部の東シナ海側では、今では「サンゴ礁の海」がほぼ完全に消失してしまった(写真2)といってもいいでしょう。人工ビーチの白いサンゴ砂は、フィリピンなどから運び込まれたものもあるそうです。

写真2 沖縄本島南部の典型的な海岸の景観。2005年2月 長谷川撮影


初めて碧い海を見た人なら、こんな風景だってスバラシイ!というでしょう。良く晴れた日に、飛行機が那覇空港に降りる前に海が見えると、グループ旅行の人たちから歓声があがるのをしばしば耳にします。しかし、よく見ればわかるのですが、生活排水の流れ込む海、コンクリートに囲まれた人工ビーチがこの海の現実の姿です。  

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