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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘史研究年報2017 楓?94多様な教授が行われていたことがわかる。(5)私塾と教育制度との関係については、吾妻重二「近代学制のなかの泊園書院」(吾妻重二編『文化交渉学のパースペクティブ』関西大学出版部、二〇一六年)が、大阪市内で長期間にわたり私塾教育を行った泊園書院と教育制度との関係を詳しく考察しており参考となる。なお、明治以降の教育制度の概要については、日本近代教育史事典編集委員会編『日本近代教育史事典』(平凡社、一九七一年)の各項目が詳しい。以下の記述は、吾妻論文および同事典に多くを依拠している。煩雑となるため直接の引用以外は参照頁数を省略した。(6)『法令全書 明治三年』(内閣官報局、一八八七年)七〇九頁。また同じく一二月二四日付の「第九百八十八(府藩県)」では、「諸技芸師家私塾之儀ニ付、別紙両通之通リ御達相成候條、其旨相心得、今後管轄中ノ者共各地方師家ヘ入塾之節ハ、其為人ヲ糺シ添書可差遣候事。( 別紙ハ第九百八十六第九百八十七ニ同シ)」との通達がみられる。一八七〇(明治三)年の太政官布告は、この三条がワンセットとなる。なお法令関係の原文に句読点はないが、引用に際しては旧字体は新字体に、また読みやすさを考慮して句読点を補った。以下の引用もこれに準ずる。(7)『法令全書 明治五年』(内閣官報局、一八八九年)一一二四頁。なおこれ以降も三条の付則がみられるが、本論とは直接関わらないため省略する。但書きでは「府県学」以外はすべて私学とすること、しかし一家または二家までの子弟を教える場合は「家塾」として私学と区別することが記されるが、この「家塾」や「私塾」といった区別については「学制」においてさらに改訂されていく。この点については註(10)を参照。(8)註(5)吾妻論文、二八二頁。(9)文部省『学制百年史 資料編』(帝国地方行政学会、一九七二年)一五頁。(10)また、学制は私学・私塾と家塾の違いをも区別する。第三二章では、「私宅ニアリテ中学ノ教科ヲ教ルモノ、教師タルヘキ証書ヲ得ルモノハ中学私塾ト称スヘシ、其免状ナキモノハ之ヲ家塾トス」(註(9)、一五頁)と、教師に免状がある場合は私塾とし、ない場合を家塾と規定する。(11)註(9)、一四頁。(12)正則中学は年齢によって下等と上等に分けられ、下