ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘の設立とその時代83も、お役所風の空気の中に条令と叱責にまで堕落しては、到底ホントの教育が生まれようハズは無論ないと思います。玉川学園(玉川塾)の教育もまた教師と塾生が寝食を共にし、生活の場それ自体の開拓を塾生と共に行う労作教育や、出版・印刷・植字といった事業も自ら行っていくなどの、国士舘とコンセプトを同じくする、言わば共同体志向を基調としていた) 11 (。2 「大正生命主義」と新教育国士舘の教育や新教育(の一部)にもみられた共同体志向を持った学びの場、実践の場は、それでは当時の教育界においてだけみられたのかと言えば決してそうとは言えない。学びと生活が相即するあり方は、学びの面が強く出れば私塾的な教育傾向が表れるものの、生活の面が強く出ればまた異なった表出の仕方をする。このような分け方もあくまで便宜的なものだが、後者の一例として、ここでは武者小路実篤(一八八五~一九七六年)と「新しき村」について簡単に触れておきたい) 11 (。新しき村は一九一八(大正七)年一一月に宮崎県児湯郡木城村石河内の山あいに建設されたが、それは武者小1919 年11 月9 日 国士舘落成式・開舘式(国士舘史資料室所蔵)