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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘史研究年報2017 楓?78当今中学ノ書器未タ備ラス、此際在来ノ書ニヨリテ之ヲ教ルモノ、或ハ学業ノ順序ヲ踏マスシテ洋語ヲ教ヘ又ハ医術ヲ教ルモノ、通シテ変則中学ト称スヘシ。但、私宅ニ於テ教ルモノハ之ヲ家塾トス) (( (と、学制に定める教科や施設を備えた正規の中学(正則中学)に対して、それに満たないものは変則中学とするが) (1 (、届け出制とされた多くの私塾はこの変則中学として括られていくことがこれまでに指摘されている) (1 (。さて、学制においては私学・私塾について一定の意義が認められ、寛容な態度がとられていたと言えるが、一八七九年九月に公布された「教育令」、翌年一二月の「改正教育令」になると状況が大きく変わる。教育令の第二条において、「学校ハ小学校・中学校・大学校・師範学校・専門学校・其他各種ノ学校トス) (1 (」と定められ、翌年の改正教育令第二条においても、「学校ハ小学校・中学校・大学校・師範学校・専門学校・農学校・商業学校・職工学校・其他各種ノ学校トス) (1 (」と、正規の学校としての小・中・大学校や師範学校・専門学校などが掲げられた以外に「其他各種ノ学校」が規定された。「各種学校」と呼ばれるものがここで登場するわけだが、これにともなって学制に規定された変則中学や私塾・家塾などの規定は削除された。ここで私塾は各種学校に組み込まれる。この各種学校について、一八八三年の『文部省年報 第八』は項目を立てて次のように述べる。従来各地方ニ設置セル学校或ハ家塾ノ類ニシテ、其学規及ヒ教授科目等ノ全ク小学中学若クハ専門学校ノ資格ニ適合セサルモノ[中略]仮ニ之ヲ小学若クハ中学ノ部類ニ編入セシモノナリ、然レトモ今ヤ学校ノ分類種別一ニ皆教育令ノ本旨ニ遵依シテ、学科不備ノ学校ハ其程度ノ如何ニ拘ハラス悉ク之ヲ純然完備ノ学校ト甄別セスンハアル可カラス[後略) (1 (](傍線部引用者)学校(私塾)や家塾は小学・中学校の部類に入るものだが、教育令が公布されたことでそれらは「学科不備ノ学校」であるため、「純然完備ノ学校」つまり正規の学校と区別されることが明言されている。このように、各種学校は制度化された学校の進学コースから疎外されていくこととなる。さらに私塾(各種学校)に対する圧迫政策とみられるものが、一八八一年七月に布告された「文部省達第二八号」の「中学校教則綱領」と、一八八四年一月に布告された「文部省達第二号」の「中