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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘の設立とその時代77より私塾の開業と入塾を許可制にすることを通達した。第九百八十六諸技芸師家私塾相開候向キ、生徒入塾之節、身元取糺シ、地方官添書無之者、入塾差許候儀不相成候事。但、塾生増減明細書記シ、月末地方官ヘ可届出候事。第九百八十七諸技芸師家私塾相開候者、其地方官之許可ヲ可受候事) 6 (。この布告は私塾を官の統制下に入れるはじめての措置であったが、一八七一年に創設された文部省はこれを受け継ぎ、翌年三月の「文部省布達第六号」では以下のように府県に命じている。従前私塾ニ於テ生徒教育之儀ハ、官ヨリ指構不致候処、元来人民教育之道ニ於テハ、公私ニ因リ其差別無之筈ニ付、私塾教師ト雖モ官之許可ヲ不得、叨リニ教育不相成訳ニ候條、自今私塾ヲ開候者ハ、前以其姓名、年齢、従前之履歴、学課、塾則、教育之方法、開講之場所等委細ニ開列シ、当省エ伺出、免許ヲ受候上開塾可致、就テハ東京府下ニ於テ、是迄私塾設置候者、右塾則等早々取調、来十七日ヨリ二十日迄之際、府庁添翰ヲ以当省ヘ可伺出、其他府県ニ於テハ其官庁ヨリ適宜之期限ヲ立テ、塾則之類為差出、検査之上開否之見込ヲモ相添、当省エ可伺出候事。但、府県学之外、皆私学トス、唯一家或ハ二家迄之子弟ヲ教候者ハ家塾ニ属シ候間、私学ノ数ニ算入セス) 7 (。ここでは私塾を開く者は前もって氏名、年齢、履歴、学課、塾則、教育の方法、開講の場所などを文部省に届けて許可を得なければならず、その他の府県も同様であるという。これは「廃藩置県を実施し、全国の学校をすべて文部省のもとに統括しようとする政府の方針によるもの) 8 (」と指摘される政策だが、この許可制はつづく学制においても踏襲されていく。例えば学制の第四三章では「私学私塾及家塾ヲ開カント欲スル者ハ、其属籍、住所、事歴及学校ノ位置、教則等ヲ詳記シ、学区取締ニ出シ、地方官ヲ経テ督学局ニ出スヘシ) 9 (」と述べる) (1 (。さらに注目される規定として、第三〇章では、