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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘史研究年報2017 楓?66たっていたのである。ここから、この痕跡は改修等によるものではなく、学生たちが次の授業の合間などに濡れ縁へ腰掛け、授業について、あるいは人生を語らう際に足が当たり、削れたことによる経年痕跡であると判明した。各時代の若者が大講堂に集い、語らい、ここを中心に学内外の活動をしていたことを思うと、感慨深いものがあった。謝辞調査並びに本稿の執筆について、世田谷区文化財保護審議会委員・堀内正昭氏(昭和女子大学教授・工学博士)、同・重枝豊氏(日本大学教授・工学博士)、世田谷区文化財係の多大なご協力を得ることができました。ここに感謝申し上げます。また、国士舘史資料室・熊本好宏氏には、全面的なご協力ご助力のほか、当社牧野徹氏ほか所員の調査・整理・図版製作等の協力があり、投稿できたことを感謝の意とともにここに記します。註(1)野帳:建物の寸法などを測って書き入れたもの。(2)仕口:二つ以上の部材をある角度で接合する工法。(3)「中学校設置認可申請書」(一九二五年三月三〇日)。『国士舘百年史 史料編上』学校法人国士舘、二〇一五年、三三四頁所収。(4)基壇:寺院建築の導入とともに日本に伝えられた基礎工作法。土盛りの上に建物を建て、周りは石で外装される。(5)真壁:和風木造建築における伝統的構法。壁を柱と柱の間に納め、柱が外面に現れる壁。(6)向拝:社殿や仏堂の正面に差し出された構造物。参詣人の礼拝のためのもの。(7)切目:切った面、線、小口などの総称。(8)濡れ縁:家屋の外側に設けられる雨ざらしの縁側。(9)妻入り:大おお棟むね(屋根の最頂部の棟)と平行な方向に入口のあること。(10)入母屋造り:入母屋屋根を持つ建物の形式。入母屋屋根とは、大棟から地面に向かう山形の二つの傾斜面を持ち(切妻造り)、その四方に庇屋根を付けた形式。(11)軒樋:屋根の雨水を軒先で受ける樋。(12)腰:建物の壁面の仕上げや構造が上部と下部で異なっている場合に、その下部の壁面のこと。(13)舟肘木:柱の上にあって軒を支える部材の一種。(14)上屋:屋根を支える主要な構造部を指す。本屋の外