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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘史研究年報2017 楓?54化状況を勘案すると、床板は比較的古いものである。内部の三方に廻る腰竪板張りは経年劣化状況から建築時のものと推定されるが、床からの巾木の出が少ない【写真59】。建築当時は廊下の縁甲板張り床と同じ高さで床板が張られていた可能性もある。現状の縁甲板張りが建築時のものであるかどうかは定かでない。? 北西物置床は後補合板張で、床の高さは廊下畳床より畳厚さ分低い。内部両脇の腰竪板張り壁は経年劣化状況から建築時のものと推定され、床からの巾木の出も古写真と同様であることから、床の高さは建築当時から変わっていないと推定される【写真60】。この箇所は現存しない外便所へ繋がる廊下であり、建築時は廊下の縁甲板床張りが伸びていたと推定される。5 内壁? 広間広間の内壁は大きく改修している痕跡等はないが、壁際に周る松煙塗りの額縁が講壇脇の内法の壁下等で現存しない。一九四二(昭和一七)年頃の古写真【写真61】を見るとその範囲および講壇段際に周る額縁が確認される。その額縁が写る古写真は一九六三年頃のもの【写真62】が最後であり、その後は写真が不鮮明であることから確認できない。改修時期の確定はできないが、一九六四年以降と推定される。講壇奥の床の間は、現状折れ戸形式のパネル壁が建て込まれ、その奥は後補クロス貼り壁となっている。奥の壁の手前にパネル壁を設置しており、明らかに後補のものであるが、改修時期は不明である【写真63・64】。? 廊下・物置廊下と物置は、腰下は竪板張り、腰上は白漆喰仕上げの上、壁際に松煙塗りの額縁を廻す。漆喰壁および額縁は建築当時のものが残っている。腰壁は、部材の経年劣化状況から物置内部の一式は建築当時のもの、また廊下の板壁は後補材と推定される。北西の物置の腰壁は廊下から延びているものであり、ここに建具枠が後付けされている。このため北西の物置は、建築当時は廊下であったと推定される。6 建具(柱間装置)? 外部建具外部建具は、一九八一(昭和五六)~一九八二年にかけての銅板屋根への改修の際、正面の主出入口、北東の常用出入口のものが建築当時の建具意匠を踏襲して新規