ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

国士舘史研究年報第9号

建築調査からみえる国士舘大講堂の建築的特性43引き違い格子ガラス窓と意匠、高さを合わせて腰を設ける。廊下の引き違い格子ガラス窓は二本溝で、網戸を片側外部にケンドン形式) (20 (で建て込むため、内側のみが片引きで開く。網戸はサラン網) (28 (で後補に設置したものである【写真27】。物置の両開き木き連づれ格子戸) (20 (は、内法下と天袋に建て込むが、経年劣化状況から全て後補の改修によるものと推定される【写真28】。イ 敷居・鴨居建具廻りの敷居・鴨居のほか、広間廊下境に無目敷居と無目鴨居(松)、講壇上の下がり壁に無目鴨居、床の間に床とこ框がまちと) (01 (落し掛け) (0( (が設置される。北東物置の天袋の無目鴨居(天井二重廻り縁兼用)、北西物置の廊下境の無目敷居、中なか鴨がも居い、) (02 (天袋の鴨居は部材劣化状況から明らかに後補のものである。その他の部材は古いものであると推定される。なお、広間廊下境の無目敷居は丸柱型に当たり欠きをして、突き付けで洋釘留めする。無目鴨居に未使用の釘穴跡が確認されることから、一度取り外して再度付け直したことが分かる。ウ 長押外部は、濡れ縁の付く南正面は地じ長なげ押し、) (00 (腰こし長なげ押し、) (00 (内うち法のり長なげ押しが) (05 (付く。東面および西面は腰長押、内法長押、北面は内法長押が付くが、講壇奥にある床の間の張り出しには廻らない。松材で、継ぎ手は柱芯で目め違ちがい継ぎ) (06 (とするが、北面北西寄り(物置裏)のものは明らかに新しい部材で、さらに斜め継ぎとしている。内部は、広間は内法長押が廻り、講壇、床の間で枕まくら捌さばき) (00 (留めとする。廊下は広間と廊下で内法高さが異なるため、段違いで内法長押が廻る。正面出入口はその両脇の柱の面内で長押が留まり、雛留め) (08 (ではなく切り放しのままとする。外部同様、松材で、継ぎ手は柱芯で目違い継ぎとする。内外部ともに釘隠し)(00 (はない。⑧木階・濡れ縁南正面の向拝を潜った先に木もく階かい、濡れ縁が付く。木階は四段で、ささら桁) (01 (に段板をのせ、蹴け込こみ板) (0( (が付く。段板はささら桁へ釘留めの上、化粧丸埋木で釘を隠す。部材は全て松材を用いているが、周囲部材との経年劣化状況と比較すると後補補修のものと推定される。濡れ縁は、正面間口全体に付く。切石礎石に石場立てで束を立て、各束に上うえ楔くさび打うちの繋ぎ貫を通し、束上部には縁えん葛かずら、) (02 (側柱側は板掛けを渡して切目縁板を受ける。縁板は縁葛、板掛けへ上面から洋釘打ちで留める。束、貫は杉、縁葛、切目縁板は松材を用いる。西端の縁