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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘史研究年報2017 楓?34土台に込こみ栓せんが) 11 (打たれていることから、土台へは平ひら?ほぞ差) 11 (し込み栓打ちと推定される。向拝柱(杉)は九寸七分(二九三㎜ )角で、面取り巾は側柱と同じく柱巾の約一六分の一(約一八㎜ )である。向拝柱は切石礎石(独立基礎)上に石場建てで立ち、側柱同様柱頭に舟肘木を据えて丸桁を受ける。丸桁下には虹こう梁りょうが) 1( (掛かり、その中央に中備えとして舟肘木とそれを受ける束を備える。側柱と向拝柱を繋ぐ虹梁はない。向拝の虹梁は一・三尺×五・六寸(三九四×一七〇㎜ )の角材である。向拝柱の柱脚には銅板金物が巻かれ、その上部は鯖さばの尾おと) 11 (する。柱は背割り) 11 (が施される。丸柱(入側柱)、側柱ともに建具が建て込まれる面を背割りし、埋うめ木きを) 11 (施す。向拝柱および丸柱の正面出入口の二本は主出入口の反対面、その他は北面(講壇側)とし、埋木はない。いずれの柱も正面から背割りが見えないよう配慮していることが窺える。なお、側柱の窓下、および丸柱の開口部上の下がり壁には、四・五寸×〇・一五寸(一三五×四八㎜ )の片かた筋すじ違かい) 11 ((杉)が確認される。貫(杉)については、広間外周の丸柱に通る三・六寸×〇・五寸(一一〇×一五㎜ )の飛ひ貫ぬきが) 11 (、小屋裏) 11 (の敷桁下で確認できる。その他は壁内のため、現状、目視では確認できない。なお、古写真を見ると側柱の飛貫は、元々は化粧材として外部に見えていたことが分かる。軸部の部材は修理された跡がなく、ほぼ全てが建築時のものと判断できる。④小屋組) 11 (小屋組の構成は、広間(身舎空間)に掛かる一層目(下層)と二層目(上層)、廊下(廂空間)に掛かる軒先といった三層へ大きく分けられる。一層目は広間上の桁行方向丸柱上の敷桁に掛かる陸梁、対つい束づか、) 11 (方ほう杖づえ等) 11 (で構成されるクイーンポストトラス) 1( ((対束トラス)状の洋小屋組) 11 (、二層目は洋小屋組の上にのる束、母も屋や、) 11 (挟み棟木で構成される棟廻りの和小屋組) 11 (、軒先は桔はね木ぎ、) 11 (束、母屋で構成される和小屋組である【図3・写真15】。一層目は陸梁を梁間方向に渡し、その上に登り梁) 11 (、対束、方杖、二に重じゅう梁ばりを) 11 (組み、鼻はな母も屋や、) 11 (母屋を受ける。通常のトラスの場合は、鼻母屋、敷桁は陸梁を挟み込む形で上下に配されるが、大講堂は陸梁を敷桁より張り出し(キャンティレバー) 11 ()、鼻母屋を敷桁より外側へ二・五寸(七五七㎜ )持ち出している。登り梁、二重梁と陸梁は直径〇・六六寸(二〇㎜ )のボルトで吊り、登り梁と陸梁の仕口はボルトで緊結する【写真16・17】。また、対束と陸梁仕口は箱金物(コの字型に曲げ加工した鉄帯金