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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘史研究年報2017 楓?30は二枝と垂木巾一本分、向拝のものは三枝と垂木巾一本分で、それぞれ垂木巾で除すると、その一五本分と二二本分となる。以上より、外部廻りの主要部材の寸法は、垂木巾を基準にその比例関係によって部材寸法を決めていた可能性が高いと推定される。? 工法および技法①基壇大講堂は、周辺地盤(校内通路)面より一段上げた基壇上に建つ。基壇は、現状の地盤面より八・五寸(二六〇㎜ )程度上がり、基壇側面は割わり肌はだの) 11 (石張りで、基壇上面の犬走りはモルタル櫛くし引びき) 11 (仕上げ(目地有)とする。正面向拝部分は切石を二段敷き並べた階段を設ける【写真3】。基壇外周の現状地盤(校内通路)との境は大講堂の屋根軒先付近となり、砂利石を敷き詰めた雨落ちとしている【写真4】。②基礎外周および広間、廊下境の上屋部分の柱下は切石の独立基礎( 礎石) を設置する。側柱下の礎石は一尺(三〇〇㎜ )角程度、内部柱下の礎石は一・五尺(四五五㎜ )角程度である。礎石下のコンクリート製の基礎の有無については現状、目視では確認できない。外周から布ぬの基ぎ礎そ状) 11 (にみえる柱下礎石間の切石は、厚さ五寸(一五〇㎜ )、長さ二・五尺(七六〇㎜ )の薄い切石を、意匠上、礎石外面に合わせて敷き並べたもので、構造上の布基礎として土台を受けているわけではない【写真5・6】。いずれの石も外周部の上面は面取りを施して水切れに配慮している。正面向拝柱下と濡れ縁の束つか下) 11 (は、テーパー) 11 (のついた切石礎石とし、内部の円柱下は割肌の礎石を用いる。床組の束つか石いしは) 11 (コンクリート製のものへ更新されており、旧材は残っていない。③軸組軸組は土台、足固め) 11 (、柱、貫ぬき、) 11 (桁けた、) 1( (梁はりに) 11 (て構成する伝統軸組工法である。ア 土台土台は建物外周にのみ廻り、内部の柱は礎石へ石いし場ば建だて) 11 (とする【写真7・8】。土台(広葉樹)は、一七五×一五〇㎜ 程度で、アンカーボルトによる緊結が確認される【写真9】。しかし、アンカーボルトと基礎との緊結方法は現状、目視では確認できない。また、カスガイ状のコの字型の鉄板金物を土台と柱に打ち込み、さらに釘留めしてその二材を緊結する。この金物は柱が土台から抜けることを防ぐものである【写真10】。