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概要

国士舘史研究年報第9号

国士舘史研究年報2017 楓?26三 現状からみる建築的特性1 立地・配置大講堂の建つ国士舘大学世田谷キャンパスは、世田谷区世田谷四丁目に位置する。周辺には北側に小田急線梅ヶ丘駅、東側に吉田松陰を祀る松陰神社がある。南側は世田谷区役所と接し、その先には東急世田谷線が走る。西側は勝国寺に接し、しばらく行くと井伊家の菩提寺で井伊直弼の墓所が所在する豪徳寺がある。大講堂は、南側正門より北進した真正面、世田谷キャンパスのほぼ中央に南面して配される。その東には五号館(一九五八年竣工)、北には一〇号館(一九六六年竣工)、西には七号館( 一九六三年竣工) と八号館(一九六四年竣工)があり、周り三方を校舎に囲まれる。講堂の南前には、植栽サークルに囲まれた創立者・柴田德次郎の銅像が建つ。キャンパス内の通路は、この銅像と大講堂を中心起点として東西南北に通っており、大講堂の周りは学生達が行き交う場となっている。これは、国士舘が移転した当初計画(一九一九年一一月に建てられた大講堂、本部棟、寄宿舎、道場の四棟)の軸線が基本となり、その後も唯一残ってきた大講堂を核として世田谷キャンパスが整備されてきたためである。2 用途・間取り・意匠等大講堂は、建設当初教室として使用されるほか、様々な式典や講演会場として利用されていた。関東大震災の際は被災者を広く受け入れたという記録も残っている) 3 (。現在は、大学のオープンキャンパス等の行事やサークル活動に使用されている。大講堂は基き壇だん上) 4 (に建つ木造平屋建ての真しん壁かべ造) 5 (りで、梁間八間、桁行一〇間、南正面に間口三間の向ご拝はいが) 6 (つき、切目) 7 (板張りの濡ぬれ縁えんが) 8 (正面に付く。屋根は妻入り) 9 (の反りのある入いり母も屋や造り) (1 (とし、向拝部分を葺き下ろす。現在の屋根葺き材は銅板平葺きで、向拝の軒先に銅製の軒のき樋どいを) (( (渡す。外壁は腰) (1 (下を洗い出しモルタル、腰上を漆喰仕上げとし、側柱の柱頭部に舟ふな肘ひじ木きを) (1 (据える。上うわ屋や筋) (1 (の丸柱は九寸(直径二七二㎜ )とし、側柱は五・五寸(一六五㎜ )角、向拝柱は九・七寸(二九三㎜ )角とする。間取りは、中央を一〇八畳(五四坪)敷きの広間とし、その南東西三方に幅一間(一八一八㎜ )の畳敷き廊下を廻す。廊下は天井高さ一一・八尺(三五六九㎜ )の竿さお縁ぶち天てん井じょうと) (1 (する。広間は天井高さ一六・二尺(四九一三㎜ )の折おり上あげ格ごう天てん井じょうと) (1 (して広間の格式を高めている。広間正面