調査活動報告

テル・ソンゴルC遺跡

戻る

ソンゴルC遺跡の発掘調査は1978年2月から1979年12月までおこなわれた。この遺跡はソンゴルB遺跡の東北約100mに存在した。遺跡の規模は南北径40m、東西径30m、周囲の畑からの比高は1mである。テルの頂部の海抜は88.25mである。

層序

生活層が2枚あり、いずれもウバイド期に属する。イスラム墓とディヤラ川の氾濫による層の攪乱が著しく、2枚の遺構層(Ia、Ib)と遺構を伴わない2枚の床層(II層)からなる生活層の残存厚は1.6mにすぎない。

遺構

Ia層は1ユニットの建物で都合18の部屋から成る。部屋はそれぞれが一辺2m前後の方形で、部分的にプランが不明瞭である。壁は練土製で、70cm前後の厚みをもつ。遺構内の数ヶ所に入り口があり、R-7内のパン焼きガマの横と2つの部屋(R-4、R-3)でドア・ソケットを検出した。R-5の東側でもパン焼きガマを検出したが、その前面に小規模な石膏床張りを検出した。R-11の東側では土器片を敷き詰めた排水溝が7mの長さで検出された。この排水溝の下(Ib層)で炉を2ヶ所検出した。

遺物

石刃ナイフ、石刃鎌刃、スクレイパー、磨製石斧、石錘などの日常生活石器、薄手ビーカー形土器など、細かい文様の初期ウバイド式土器が出土した。土器にはハッジ・モハメッド式の影響が濃い。注目すべき石器は大量に出土した小型の石製錐で、土器の破損部分を紐でつなぐための穴をあけるための土器修復用石器であったと考えられる。テル・ソンゴルBでは同時期の土器窯が多数検出されており、テル・ソンゴルB、C遺跡を全体として捉え、テル・ソンゴルBを土器作りの場、テル・ソンゴルCを生活場と、遺跡の機能を分けることも可能である。

イラク、テル・ソンゴル遺跡調査、主要参考文献

藤井秀夫編著 『ラーフィダーン』第2巻(1981):特集記事、イラク・ハムリン発掘調査概報、他、『ラーフィダーン』第9巻(1988)、第10巻(1989)、第11巻(1990)、第12巻(1991)、第14巻(1993)第16巻(1995):ソンゴル特集号、第17号(1996)に掲載。

ページの先頭へ