調査活動報告

テル・アブ・ソール遺跡、ライヤーシ遺跡

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アナのミナレットアナのミナレット

テルというのは名ばかりで、ユーフラテス河の岸にそびえること40m、独立丘をなす岩塊である。旅人には良きランドマークだった。長径100mほどを測るその頂上には、遺物を包含し、埋葬の痕跡をのこす薄い砂層が広がる。はっきりした遺構は見られないものの遺跡には違いない。多数の土器片やビーズ類のほか、数種類の動物をかたどった素焼きの土偶がこの遺跡を特徴付ける。前2千年紀から1千年紀にかけての比較的長い時間、宗教的な祭事場として利用された場所だったように思われる。ハディーサ・ダムの建設で、いまこの丘のふもとはユーフラテス河の水に洗われているはずだ。

テル・アブ・ソール出土の土偶テル・アブ・ソール出土の土偶

アブ・ソールの調査の後、次シーズンに備えたのがライヤーシ遺跡である。やはりユーフラテス河の左岸、南北3.5kmにわたって主にローマ時代の墓が点在する。略測を多用して何とか全体図を得たが結局発掘には至らなかった。

テル・アブ・ソール遺跡、ライヤーシ遺跡、主要参考文献

テル・アブ・ソール班 「テル・アブ・ソール、1981、発掘調査概報」『ラーフィダーン』第3-4巻(1982-83)他『ラーフィダーン』第11巻(1990)に掲載。

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