国士舘要覧 2017
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4 国士舘要覧2017 日本は明治維新後、西洋文明を積極的に受容し、社会の近代化を急速に推進してきました。このため社会はおおいに伸張を遂げましたが、あまりに急激な近代化であったため、伝統文化を破壊し、軽視する風潮さえ生じました。日露戦争後には、国内問題が悪化し国民意識が変化するなかで、さまざまな社会問題が発生し、深刻な社会不安が引き起こされました。 このような当時の社会状況を憂い、柴田德次郎ら有志は、日本の「革新」をはからんと、「社会改良」と「青年指導」を目的として1913(大正2)年「青年大民団」を組織し、1917(大正6)年、「活学を講ず」の宣言とともに、私塾「國士館」を創立するに至りました。 創立者たちのねらいは、吉田松陰の精神を範とし、教学の適地として世田谷の松陰神社隣接地に学舎を建設し、「国士舘設立趣旨」でうたわれているように、日々の「実践」のなかから心身の鍛錬と人格の陶冶をはかり、国家社会に貢献する智力と胆力を備えた人材「国士」を養成することにありました。 以来、「国士」養成を理念として、学ぶ者みずからが不断の「読書・体験・反省」の三綱領を実践しつつ、「誠意・勤労・見識・気魄」の四徳目を涵養することを教育理念に掲げ、さまざまな分野で活躍する人材を世に輩出してきました。 今日、国士舘は、このような建学の志を大切に継承しながら、新たに発展を遂げた研究教育の諸領域でも、知識と実践の水準を高めつつ、世界の平和と進運を目指し、現代社会に積極的に貢献する真摯な努力を続けています。建学の由来と理念「物質文明」を統御する「精神教育」を重視し、「心身の修練」と「知徳の精進向上」を目指し、国家社会の将来を思い、世界の平和と国家社会の改革向上に貢献する人材、即ち「国を思い、世のため、人のために尽くせる人材『国士』の養成」を目指す。建学の精神「国士」養成のため、四徳目「誠意・勤労・見識・気魄」を兼ね備える教育を行う。「誠意」とは、真心と慈悲の心で、世のため、人のために尽くすこと「勤労」とは、向上心を持って、誠実に仕事をすること「見識」とは、道理のもと、物事を見抜く力をもつこと「気魄」とは、信念と責任を持って強い心でやり通す力のこと教育理念四徳目を備えるには、不断の「読書・体験・反省」を実践し「思索」すること。「読書」とは、善き書物に学び、世の中や自然界の真を理解すること「体験」とは、智恵を持って善悪を判断し、善なる判断を実行すること「反省」とは、何事も行った後、その行為を省みること「思索」とは、省みた内容を検討し、次なる目標を立案すること教育指針

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