「裁判」のほかに「仲裁」という紛争の解決方法があることを私たちはこのゼミで初めて知った。

 大学に入るとき、法律を学ぶなら、実社会に出て役立つ形で学びたいと思っていた。そんな私たちに、国士舘大学の現代ビジネス法学科はぴったりだった。この学科では金融や不動産に関する法律から、著作権などまで幅広く学ぶことができる。ビジネスの現場に直結する法的知識や素養が、自然と身につくのだ。なかでも興味をもったのは、「裁判外紛争解決手続」だった。言葉を聞くと難しそうに思えるが、実は、これがすごくおもしろい。

 ふつう、争い事の解決法としてまっさきに思い浮かぶのは裁判だ。でも、裁判は時間がかかるし、費用もかかる。それに日本の法律が適用されるとは限らないので、海外の企業と争うのに裁判はあまり適していない。そこで注目されるのが、「仲裁」や「調停」といった「裁判外紛争解決手続」なのだ。


 「仲裁」と聞いても、はじめはピンと来なかった。「何それ、けんかの仲裁?」と思ったぐらいだ。でも、学んでいくうちに、それがれっきとした法律にもとづく紛争解決法だと知って興味が湧いてきた。仲裁で出された判断には、裁判所が出す判決と同様に法的な執行力があるのだ。

 仲裁と裁判の決定的な違い、それは裁判が国によって行われるものに対し、仲裁は民間で行う紛争の解決方法ということだ。紛争を起こしている当事者同士が合意のうえで第三者を「仲裁人」として選び、その人の下した判断に両者が従うのである。

 と言葉でいっても、なかなか理解するのは難しい。そこで私たちが専攻する中村ゼミでは、わかりやすく学べる方法のひとつとして、実際のケースを想定した「模擬仲裁」を開催してくれる。仲裁人をまんなかに、双方の当事者が向かいあい、自分たちの主張を展開する。仲裁人はその意見を聞きながら、和解を奨めることもあるが、最終的に「仲裁判断」を下すのだ。シミュレーション形式の学びなので、難しい知識がすんなり頭に入ってくる。


 また、実際に仲裁や調停に関っている一般社団法人「日本商事仲裁協会」へ見学に行くこともある。仲裁に関する書物や資料を見せていただいたり、レクチャーを受けたり、教室を飛びだしてのリアルな学びはとても役に立つ。

 仲裁の最大のメリット、それはグローバル化の時代に即した紛争の解決方法ということだ。仲裁には国連の「国際商取引法委員会」によって定められたモデル法があり、このモデル法にもとづいて、各国が仲裁法を定めている。つまり、法律は国によってバラバラでも、仲裁に関しては世界共通のルールが整備されている。だから、国際間の企業紛争を解決する手段として適しているのだ。


 いま、経済は急速にグローバル化している。日本の企業もこれからは仲裁によって紛争を解決する機会が増えるだろう。私たちが学んでいるのは、現代ビジネスの最前線に直結する生きた知識なのだ。

 裁判にくらべ、費用も時間もかからない仲裁や調停は、医療をめぐる病院と患者間の紛争解決などにも有効だ。「裁判外紛争解決手続(ADR)」と呼ばれる、この新しい紛争解決の方法は、今後ますます注目され、利用されることになるだろう。私たちが中村ゼミで身につけた最先端の知識と経験は、社会のどんな分野に進んでも、きっと役立つにちがいない。


現代ビジネス法学科4年 飯島 あゆみ (東京都/国士舘高等学校)
国士舘高等学校だったので、法学部に現代ビジネス法学科があるのは知っていました。受験時には文学部の初等教育にもひかれていて、どちらにするか迷ったが、社会に出てから役立つイメージがあったので、現代ビジネス法学科を選びました。何でも責任持って解決できるような、トラブルに対処できる人になりたいと思います。裁判は知っていましたが、裁判とは違う「仲裁」に興味を持ったので、このゼミに入りました。「仲裁」「ADR」は費用もあまりかからずに使いやすいし、内容も秘密にできる良いシステムだと思います。将来は信用金庫など金融関係に進み、お客様に金融面でのトラブル回避をアドバイスをしていきたいです。
現代ビジネス法学科4年 池田 紋子 (神奈川県/立花学園高等学校)
読書が好きで、特に法律系の本をよく読みます。オープンキャンパスで来たとき、図書館がとても良いので国士舘に興味を持ちました。司法書士などの勉強にも興味がありましたが、自営業を営む親をサポートできるビジネス系に進路を決め、現代ビジネス法学科に入りました。最初は消費者契約などに興味を持っていましたが、学部事務室に相談したり中村先生の授業を見たりして、将来、社会に出て色々と役立ちそうで、国際的な問題についても学べるこのゼミを選びました。先生のゼミは学生にきちんと向き合って教えてくれるので、とても分かりやすいです。将来は証券会社で投資関係の仕事に就きたいと考えています。
現代ビジネス法学科4年 小野澤 絵理 (長野県/上田染谷丘高等学校)
高校生のときは経済系の学部を希望して合格しましたが、法律が学びたくなって受験しなおしました。法学部の中でも現代ビジネス法学科というのは珍しく、単に法律を極めるのではなく、経済的な要素もありそうなので興味を持ちました。入学してみると、六法全書的なことに加え、経済や国際金融などについても学べました。ゼミを選ぶ際には、珍しそうだったので「仲裁」を選びました。新しい分野の知識や考え方を身につけられるので、とても楽しいです。将来は金融業界に進み、お客様のリスク回避に役立つアドバイスができるような接客をしたいと思います。
現代ビジネス法学科4年 高城 良子 (東京都/都立墨田川高等学校)
中学三年生の頃からなぜか法律に興味があって、法学部に進もうと思いました。兄が法学部だったからということもあるのかもしれません。入学する際にはいろいろ調べて、現代ビジネス法学科の存在を知り、身近なことがいろいろ学べそうだなと思って入りました。学びの内容は難しいのですが、ライブドアの事件のときはちょうど学んでいることと重なって、よく理解できました。「裁判外紛争処理法って何?」と興味を持って中村先生のゼミを選択しましたが、これもすごく難しいですね。でも、みんなで議論をできるのは、とてもいい経験になっています。卒論は医療A D R( 裁判外紛争解決手続)をやろうと思っています。この学びを生かして将来何になろうか、いま考えているところです。
現代ビジネス法学科4年 高山 順妃 (東京都/国士舘高等学校)
法学部の中でも現代ビジネス法学科は、イメージがわきやすく身近に感じられたので選択しました。難しい専門用語などが多く理解できない部分もありますが、将来役立ちそうなので、選んでよかったと思います。ゼミは、国際紛争や企業間のトラブルの解決ができる「仲裁」が面白そうで、選択しました。卒論テーマには医療事故に関するADRを取り上げています。ゼミではグループに分かれて発表したり質問を受けたりするのが、とてもためになります。私は副ゼミ長としてゼミ進行のスケジュール管理なども受け持っています。将来は、企業に就職するか教員になるか悩んでいますが、学んだ事はどんな分野でも役に立つと思います。
現代ビジネス法学科4年 横山 瑠姫 (東京都/豊島学院高等学校)
おじが国士舘大学法学部出身の警察官なので、法律系に興味を持ちました。特に将来の可能性を広げやすいと考え、現代ビジネス法学科を選びました。この学科では、投機、不動産、動産、その他、生活に役立つ必要な知識をいろいろ学べます。著作権などにも興味を持っていますが、学部事務室のアドバイスや先生に相談した結果、「仲裁」ゼミに入る事に決めました。ゼミでは自分で調べた事を発表すると、それに対して先生が丁寧に応えてくださいます。最新の知識が得られてとても楽しいです。いま、サービス業の企業から内定をいただいていますが、将来的には人事関係の仕事か、スーパーバイザーなどを目指したいと思っています。
( 学年は2009年7月時点 学年・名前50音順)